中山道「加納宿」にある創業元和六年(1620年)の超老舗【二文字屋】で絶品の地焼き鰻を食べました。

2024年2月5日

1.はじめに

 先日のお盆に、我が故郷岐阜に帰省したときに、兄貴の息子たちも帰ってきていたので、みんなで鰻を食べに行くことになりました。

岐阜帰省・観光
岐阜帰省・観光

 いままでに一度だけ行ったことがある、【二文字屋(にもんじや)】という鰻屋さんにお伺いすることになりましたが、実はこのお店は、創業から400年以上も続く超老舗だったことが分かりました。

 ということで、今回はこの超老舗の鰻屋【二文字屋】をご紹介したいと思います。

2.場所は中山道の「加納宿」

 【二文字屋】は中山道の「加納宿」の中にあります。といっても残念ながらこのあたりは戦火から逃れることができず、ほどんど昔の面影は残っていません。普通(?)の住宅が立ち並ぶほぼまっすぐな道が、江戸時代の五街道のひとつである中山道になります。

中山道「加納宿」付近(「加納宿」からは「岐阜城」が見えます:真ん中の写真)
中山道「加納宿」付近(「加納宿」からは「岐阜城」が見えます。:真ん中の写真

 もっと時間をかけて調べれば、いろいろと見つけることができたのかと思いますが、今回は熱中症警戒アラートが出ている真っただ中だったので、【二文字屋】周辺だけをまわったところ、ほんの少しだけ「加納宿」の面影を見つけることができました。

中山道「加納宿」の面影
中山道「加納宿」の面影

3.歴史を感じる佇まい

 中山道の「加納宿」沿いの住宅の中に、一軒だけポツリと【二文字屋】が、ここは昔中山道の「加納宿」だったんじゃ、と言い伝えんとばかりに佇んでいます。

 【二文字屋】の創業は、タイトルにも書いたように江戸時代初めの元和六年(1620年)になります。【二文字屋】のホームページによると、下記の通り、上野長七郎というお方が、中山道の「加納宿」に町の役人「町年寄」として【二文字屋】の屋号を掲げ、朝廷関係の儀礼などを担当する位の高い旗本「御勅使、大名高家」の飛脚を命ぜられた方々をもてなすお茶料理屋「御飛脚使宿」を営んだのが始まりのようです。すいません。知らない単語が並んだので、自分なりに解釈してみました。

 岐阜城下より移り住んだ上野長七郎が、「町年寄」として中山道加納宿に「二文字屋」の屋号を掲げ、「御勅使、大名高家」の「御飛脚使宿」として、お茶料理をはじめたことに端を発します(歴史研究家:佐藤哲雄氏調べ)。以来、十三代目当主に受け継がれる今日にいたるまで、川魚料理・日本料理と「二文字屋」の暖簾を守り続けてまいりました。

 【二文字屋】の入口には小さな池(生け簀ではありません)があり、そこでは立派な錦鯉たちが、気持ち良さそうに泳いでいました。

 入口のドアの横には「自治会長」「中山道加納宿文化保存委員」という札が貼ってあり、これも創業当時の「町年寄」の時代から引き継がれたものではと思いました。

【二文字屋】の入口
【二文字屋】の入口

 お店の向かいと、ほど近いところの2箇所に、全部で10台ほど止められる駐車場がありました。お店の中は、入り口からは想像できないほど奥行きがあり、けっこうな座席数なので、混みあう時間帯は駐車場が一杯になることがりそうでした。

【二文字屋】の駐車場
【二文字屋】の駐車場

 鰻で頭の中が一杯だったので、お店の中の写真はほとんど撮れていないのですが、趣のある老舗らしい造りで、1階はテーブル席、2階は畳敷きの個室と大広間になっていました。私たちは2階の席でしたが、畳の上でもテーブル席になっていたので、長時間畳に座っていると足が硬直してしまう前期高齢者の私でも、なんの問題もありませんでした。

4.値段はかなりリーズナブル

 今回は私がスポンサー役だったので、恐る恐るメニューを見てみると、この鰻が高騰しているご時世に、値段はかなりリーズナブルでした。

 お店の方のお話だと、うなぎ丼・長焼きの梅が、うな重、白焼きと同じく鰻一匹分で、特製はそれより多く鰻が使われているようでした。鰻一匹分が3,000円を切る値段で食べられるなんて驚きで、先日の「土用の丑」の日に近所のスーパーで見た、それほど立派ではない2,980円の鰻の蒲焼は幻だったのではと思いました。

 【二文字屋】のような老舗の鰻屋さんは、昔から長年続く安定した仕入れルートが確立されており、この値段はそれにより成せる業なのかなと思いました。

 岐阜の鰻の焼き方は関西風の蒸さずにそのまま焼く「地焼き」ですが、どうしても関東風のふっくらととした鰻が食べたいという方が、たまにおみえになるようです。そんな方のために、鰻を蒸してから焼くのではなく、60分間じっくりと手間暇をかけてふっくらと「地焼き」したうな重(二文字屋流)というメニューも用意してありました。さすが老舗です。

 ちなみに肝吸いは好き嫌いがあるので、別料金にしてありました。もちろん値段は鰻と同様にリーズナブルでした。

【二文字屋のうなぎメニュー抜粋】
■うなぎ丼・長焼き
・竹:2,046円 ・梅:2,838円 ・特製:3,410円 ・鶴:4,455円
■ひつまぶし
・梅:2,948円 ・特製:3,520円 ・鶴:4,455円
■うな重(二文字屋流)
・特製:3,520円 ・鶴:4,455円
■白焼き:3,520円
■肝吸い:242円
(値段は税込み)
【二文字屋】ホームページのメニューリンク
https://nimonziya.seesaa.net/article/202109article_5.html?1631359808

5.「地焼き」の懐かしい味

 私は、前に来たときはうな丼の梅を注文し、それでも十分なボリュームでしたが、ここのところ猛暑日が続いているので、少し精を付けるために奮発してうな丼の特製を注文しました。

 甥っ子たちとしばらく談笑していると、いよいような丼の特製が運ばれてきました。丼のふたを開けると、なんと鰻が2段重ねになっていました。そして久しぶりに、「地焼き」の鰻の香ばしい風味と食感を、存分に楽しまさせていただきました。

 この至福のひとときの中で、ふとテーブルの上に山椒がおいていないことに気付きました。お店の方にお願いすると、他のテーブルの分も持ってこられたので、忙しかったので最初に並べるのを忘れたのかなと思いました。

 あとで【二文字屋】のホームページを見てみると、溜りを使用した濃い目のタレで深く焼き込むので関東風のように山椒の効き目は落ちる、と書いてありました。ようするに山椒をかけないで、溜りを使用した濃い目のタレを味わってください、ということでした。

 たしかに私が山椒を鰻にかけるようになったのは上京してからで、最初のころは違和感を感じたことを思い出しました。すいません。いつのまにやら関東かぶれになっていたようです。

うな丼の特製
うな丼の特製
うな丼の特製(続き)
うな丼の特製(続き)

6.「清水川」沿いを散策しながら

 今回は【二文字屋】には車で行きましたが、【二文字屋】は、JR岐阜駅の南口から徒歩で10分ぐらいのところにあります。JR岐阜駅の南口を出るとすぐのところに「清水緑地」という公園があり、その中に「清水川」が流れています。「清水川」沿いには散策路があり、この道をのんびり歩いていくと【二文字屋】の近くまで行くことができるので、このルートがお勧めかと思います。

「清水緑地」(左)と JR岐阜駅の南口(右)
「清水緑地」(左)と JR岐阜駅の南口(右)
「清水川」と 散策路
「清水川」と 散策路

7.おわりに

 以上が、中山道「加納宿」にある創業元和六年(1620年)の超老舗【二文字屋】のご紹介になります。久しぶりに「地焼き」の鰻を腹いっぱい食べることができ大満足でした。値段もリーズナブルで、スポンサーの懐にとてもやさしいお店でした。

 一方で【二文字屋】のある「加納宿」には、昔の面影はほとんど残っていませんでした。もし戦火から逃れ昔の姿がそのまま残っていたら、JR岐阜駅からもほど近いこともあり、おそらく岐阜市の定番観光地として賑わっていたのではと、自称「岐阜の観光大使」としては少し残念な気持ちになりました。

「二文字屋」ホームページ
「二文字屋」ホームページ
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