親父の車遍歴:番外3(ハコスカ・ケンメリ GT-R編【前編】:大型新人のデビュー戦はほろ苦いものでした。)

2024年2月23日

1.はじめに

 前回(その6)を書いているときに、YouTubeで昔のスカイラインのTVCMを調べていると、ハコスカ(3代目スカイライン:GC10)のCMの中でおもしろい映像を見つけました。

前回(その6):2代目マークⅡ編
前回(その6):2代目マークⅡ編

 当時のハコスカは、我が愛車ケンメリ(4代目スカイライン:GC110)と同様(ハコスカのほうが先!)に、「愛のスカイライン」をキャッチコピーにしており、CMの終わりに「1500」「1800」「2000GT」、そしてそれに加えてなんと普通に「GT-R」といったモデルラインアップが、各々ハートマークに囲まれて映っていました。

 そのセンスをどうこうではなく、今では「GT-R」からはスカイラインの冠は取れてしまいましたが、当時の「GT-R」はスカイラインの1グレードだったのだとしみじみ思いました。

ハコスカのTVCMのエンディング
ハコスカのTVCMのエンディング(パワポで作成)

 ということで今回(番外3)は、ハコスカとケンメリの「GT-R」編の【前編】となり、ハコスカ「GT-R」と当時レースでしのぎを削りあっていた「マツダ 初代サバンナ:以下サバンナ」をご紹介したいと思います。

 なお本ブログは、私の子供のころの記憶と、定期購読誌「国産名車コレクション」、「名車文化研究所」や自動車メーカーなどのサイト、を参考にして書いていることをご承知おきください。

2.ハコスカ「GT-R」

2-1)4ドアセダンと2ドアハードトップ

 ハコスカ「GT-R」は、ハコスカのフルモデルチェンジ(1968年8月)から少し遅れて、1969年2月に4ドアセダンで発売されました。4ドアセダンの「GT-R」は、まだオーバーフェンダーは装着されておらず、ボディサイドのサーフィンライン(5代目スカイライン(GC210)まで踏襲されたキャラクターライン)を少しだけえぐってある以外は、4ドアの「2000GT」とほとんど外観は同じでした。

ハコスカ4ドアセダン「GT(左)」と「GT-R(右)」のリアフェンダーの違い(パワポで作成)
ハコスカ4ドアセダン「GT(左)」と「GT-R(右)」のリアフェンダーの違い(パワポで作成)

 その後、1970年10月のマイナーチェンジで2ドアハードトップが追加され、ハコスカの「GT-R」は4ドアセダンから、よりコンパクトで運動性能の高い2ドアハードトップにバトンタッチしました。この2ドアハードトップからオーバーフェンダーが装着され、よりワイルドな外観となりました。

ハコスカ「GT-R」2ドアハードトップの外観(国産名車コレクション付録ミニカー)
ハコスカ「GT-R」2ドアハードトップの外観(国産名車コレクション付録ミニカー)

2-2)ほろ苦いレースデビュー

 そもそも「GT-R」は、今も昔もレースで勝つために作られた車です。ハコスカ「GT-R」は発売後まもなく、1969年5月に富士スピードウェイで開催された「JAFグランプリレース」でレースデビューしました。レース当日の朝刊には大々的に「今日、注目のスカイライン、GPに出陣」と告知されたそうです。

(その3):コロナ編
(その3):コロナ編

 けっこう有名な話ですが、性能的にも勝って当然と思われていたハコスカ「GT-R」は、以前(その3):コロナ編で少しご紹介した「トヨタ1600GT」に行く手を阻まれ相当苦戦しました。そして最後にチェッカーフラッグを受けたのは「トヨタ1600GT」でした。レース終了後に、先にゴールした「トヨタ1600GT」が進路妨害と判定され、ハコスカ「GT-R」は繰り上げで、かろうじて優勝することができました。

 一応優勝はしたものの、大型新人だったハコスカ「GT-R」のレースデビューは、少しほろ苦いものだったようです。まるで長嶋茂雄選手がデビュー戦で、金田正一投手に4打席連続空振り三振の洗礼を受けたときのようです。

2-3)「サバンナ」に50連勝を阻止される

 レースデビュー後は、ハコスカ「GT-R」は本領を発揮し、着々と勝利を重ねていきました。2ドアハードトップにバトンタッチしたのちも勝ち続け、なんと49連勝という素晴らしい偉業を残しました。

 そして、1971年12月にレースデビュー戦と同じサーキットである富士スピードウェイで開催された「富士ツーリストトロフィ500マイルレース」に、50連勝という金字塔をかけて出走しました。結果は残念ながら、打倒「GT-R」を旗頭に投入されたマツダのロータリーエンジン搭載の「初代サバンナ(RX3):以下サバンナ」に敗れてしまいました。

 その後、モデル末期が近づいているハコスカ「GT-R」は、老骨鞭打って前人未到の50勝目を手にし、さらに勝利を重ねていったようです。

サーキットで競い合う「GT-R」と「サバンナ」
サーキットで競い合う「GT-R」と「サバンナ」
のイメージ(国産名車コレクション付録ミニカー)

3.「サバンナ」

 ハコスカ「GT-R」の50連勝を阻んだ「サバンナ」は、1971年9月に10A型ロータリーエンジンを搭載して発売されました。当初からレース用にはそれより排気量が大きい12A型ロータリーエンジンが使われていましたが、1972年9月にその12A型ロータリーエンジンを搭載した「サバンナGT」が発売され、「サバンナ」の圧倒的な走行性能を世に知らしめました。

 ロータリーエンジンといえばマツダの代名詞で、ピストン運動ではなく回転運動で燃焼サイクルを回していくので、モーターのように静かにかつ強力に加速していくという評判でした。一方でロータリーエンジンは燃費が極めて悪いという評判で、「サバンナ」の中古車価格は相当安価で、当時学生だった私たちにも容易に手が届く価格で売られていました。

 友人の「サバンナ」を何度か運転したことがありますが、そのあとで我が愛車ケンメリを運転すると、まるで重りを引きずって走っているのではと思えるほどでした。その「サバンナ」を別の友人が運転しようとしたときに、アイドリング音があまりに静かなので誤ってセルモーターを回してしまい、思いっ切り「ガリっ」という音を立てていたことを今でも覚えています。

 その後もマツダはロータリーエンジンの改良を続け、厳しい排出ガス規制の中で他社が苦しむ中で、その走行性能はほとんど損なうことなく、あの一世を風靡した次期型「サバンナ(RX7):以下RX7」をデビューさせました。この「RX7」については、別のブログでご紹介したいと思います。

「サバンナ」外観(国産名車コレクション付録ミニカー)
「サバンナ」外観(国産名車コレクション付録ミニカー)

4.大黒ふ頭でツーショット

4-1)となりにハコスカ「GT-R」が

 以前は休日に我が愛車ケンメリで、旧車の聖地「大黒ふ頭」によく行きました。旧車目当てにお見えになっている方々も多く、駐車場にケンメリを止めるとあっという間に人だかりができました。

 その日も周りの目を意識しながら、できるかぎり軽やかにすました顔で、腕の筋肉は最大限に使いつつ、重いハンドルを回して駐車しました。すると後ろから爆音とともにハコスカの「GT-R」が近づいてきて私の隣に止まりました。オーナー同士が互い会話をするわけでもなくあうんの呼吸で、周りの観衆の皆さんに絶好のフォトスポットを提供することになりました。

 【後編】では、ニセ物のケンメリの「GT-R」のお話しをする予定ですが、ハコスカもケンメリも「無色ガラス」が一番簡単な見分け方です。このハコスカの「GT-R」は、熱線リアデフォッガーの付いていない「無色ガラス」で、あきらかに本物でした。

ハコスカ「GT-R」とケンメリのツーショット
ハコスカ「GT-R」とケンメリのツーショット

4-2)首都高の料金が高騰

 少しは話は脱線しますが、「大黒ふ頭」に行くときは首都高速道路(以下首都高)を使います。その際に我が愛車ケンメリにはETCが付いていないので、最大料金を支払う必要があります。その最大料金が、昨年から1950円になり、なんと500円以上の値上げとなりました。それまでの1320円でも高いと思っていましたが、さすがにそうやすやすとは「大黒ふ頭」には行くことができなくなってしまいました。

 私が首都高を最初に利用した時は300円でした。その後じわじわと値上げはありましたが、ETCの普及に伴い距離別料金に変更になってからは一気に値上げが加速し、すぐにでも最大料金は2000円を越えようとしています。

 今後首都高は、老朽化区間の改修とか、日本橋区間の地下化などの工事が目白押しなので、この値上げはとどまることはないのかなと思いつつ、学生時代に岐阜へ帰省するときに、向島の料金所で所用(?)を済ませた上で300円払って利用していたころが、とても懐かしく思いました。

首都高利用料金の推移(パワポで作成)
首都高利用料金の推移(パワポで作成)

5.おわりに

 以上が、ハコスカとケンメリの「GT-R」編の【前編】になります。次回【後編】では、たった197台しか生産されなかったケンメリ「GT-R」と、そのニセ物たちのお話しになります。ケンメリ「GT-R」は超希少車でしたが、当時はいろいろなニセ物が街中にあふれ返っており、なぜか身近な車に感じられました。

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