親父の車遍歴:番外12(新生GT-R編【後編】:続く「R33」「R34」も着実に進化しました。)

2024年2月23日

1.はじめに

 前回【前編】では、多くの期待を集めて衝撃的な復活を遂げた「8代目スカイライン(R32):以下R32」の「GT-R」をご紹介しました。

前回(番外11):新生GT-R編【前編】
前回(番外11):
新生GT-R編【前編】

 そして「R32 GT-R」から始まった「新生GT-R」は、「9代目スカイライン(R33):以下R33)」「10代目スカイライン(R34):以下R34)」と、「GC10:以下ハコスカ」「GC110:以下ケンメリ」の「元祖GT-R」の2代を追い越し、3代に渡り続きました。

 今回【後編】では、基幹システムは「R32 GT-R」を踏襲しながらも、着実に進化を遂げていった「R33 GT-R」「R34 GT-R」を中心ご紹介したいと思います。

 なお本ブログは、私のつたない昔の記憶と、定期購読誌「国産名車コレクション」、「名車文化研究所」や自動車メーカーなどのサイト、を参考にして書いていることをご承知おきください。

2.「R33」「R34」と着実に進化

2-1)基本は同じでも

 ベース車が、「R33」は1993年8月、「R34」は1998年5月、にモデルチェンジされる中で、「GT-R」はいつも通り気をもませながら少し遅れて、「R33 GT-R」は1995年1月(1年5ケ月遅れ、ちょっと遅すぎ!)、「R34 GT-R」は1999年1月(8か月遅れ)、に発売されました。

「新生GT-R」たち 左から「R32」「R33」「R34」(NISSAN MODEL CAR COLLECTION ミニカー)
「新生GT-R」たち 左から「R32」「R33」「R34」(NISSAN MODEL CAR COLLECTION ミニカー)
「新生GT-R」3車:左から「R32」「R33」「R34」(NISSAN MODEL CAR COLLECTION ミニカー)
「新生GT-R」3車:左から「R32」「R33」「R34」(NISSAN MODEL CAR COLLECTION ミニカー)

 「RB26DETT」エンジンと、4WD「アテーサE-TS」と、4WS「スーパーHICAS」が、三位一体となった完璧な走行性能は、「R33 GT-R」「R34 GT-R」とモデルは変わっても継承されました。

 ボディサイズは「R32」でスリムになり、「R33」はリバウンドでひと回り大きくなり、「R34」ではまた気を引き締め直してスリムになるといった、ダイエットの繰り返しでしたが、前述の3つの基幹システムはモデルごとに着実に進化していきました。主な進化のポイントは下記の通りです。

■「R33 GT-R」
・「RB26DETT」:ターボチャージャーの加給圧アップ、コンピュータの16ビット化、インタークーラー変更
・「アテーサE-TS」:アクティブLSDと四輪ABSを組み合わせて「アテーサE-TSプロ」に進化
・「スーパーHICAS」:電動化による応答性の大幅向上
・その他:エアバックの採用、バッテリーのリアレイアウト など

■「R34 GT-R」
・「RB26DETT」:ターボチャージャーをギャレット社製に変更、加給圧アップ
・その他:ボディ剛性の大幅向上、カーボンディフューザーと可変リアスポイラーによるエアロシステム、サイドエアバック、イモビライザー、マルチファンクションディスプレイ(コンパスリンク対応カーナビゲーション機能付き)の採用 など

(番外3):元祖GT-R編【前編】
(番外3):元祖GT-R編【前編】

2-2)「GT-R」のTVCMも

 (番外3):元祖GT-R編【前編】で、「ハコスカ」では「GT-R」は、モデルライナップの1グレードとして普通にTVCMに出ていたことをお話ししました(「ケンメリ」については、販売期間が短すぎてよく分かりません)。

 「R32 GT-R」も、先代に習って「R32」のベース車のTVCMの最後に、さりげなくテロップで流れるだけでした。それに対し「R33 GT-R」「R34 GT-R」では、「GT-R」専用のTVCMが流れました。日産が「R32 GT-R」の好調な販売実績に味を占め、「GT-R」はもっと宣伝すれば、もっと売れるというスケベ心を出したのかな、と思いました。

「ハコスカ GT-R」(左)と「R32 GT-R」(右)のTVCMイメージ(パワポで作成)
「ハコスカ GT-R」(左)と「R32 GT-R」(右)のTVCMイメージ(パワポで作成)

 「R33 GT-R」のTVCMは、なぜが月をバックに誇らしげなナレーションが流れ、「R34 GT-R」になると、経営状態が極めて困難な状況に陥っている日産の願いを表しているような、なかなか意味深なTVCMでした。

「R33 GT-R」(左)と「R34 GT-R」(右)のTVCMイメージ(パワポとNISSAN MODEL CAR COLLECTION ミニカーで作成) 
備考:「R34 GT-R」の画像にに日産の願いがうっすらと重なってしまいました。。。

「R33 GT-R」(左)と「R34 GT-R」(右)のTVCM
イメージ
(パワポとNISSAN MODEL CAR COLLECTION ミニカーで作成) 
備考:「R34 GT-R」の画像に日産の願いがうっすらと重なってしまいました。。。

 ただ次項で詳しく述べますが、「新生GT-R」の中では、特にTVCMを打たなかった「R32 GT-R」が最も売れたというのは、皮肉なものでした。

3.「GT-R」の台数比率が高まる

 「新生GT-R」は、「元祖GT-R」と同様に高価でした。ただバブル景気の中で「シーマ」などの国産高級車の価格も高騰していたので、とんでもなく高いといった印象はなく、庶民でも頑張れば手が届きそうということで、けっこうな台数が売れました。

 特に「R32 GT-R」は、累計で4万台以上を販売しており、「R32」の中の6台に1台が「GT-R」でした。「R34」全体は、日産はルノーとの提携話の真っただ中ということで、総販売台数は異常に少なかったのですが、その中でも「GT-R」だけは売れていました。

 これら「新生GT-R」に対し、「元祖GT-R」は、「ハコスカ」はまだしも、「ケンメリ」は総販売台数がスカイライン史上NO.1ということと、その中で「GT-R」はたった197台の超希少車ということで、「GT-R」の販売比率はミクロの世界に入っています。

「歴代スカイライン」と「GT-R」の販売台数と「GT-R」比率
「歴代のGT-Rがあったスカイライン」と「GT-R」の販売台数と「GT-R」比率

4.各車の主要諸元

 「R32 GT-R」「R33 GT-R」「R34 GT-R」の主要諸元を下記に示します。あえて専門的なスペックは、はしょってあることをご承知おきください。

 ボディサイズは、前述の通り「R33 GT-R」でひと回り大きくなりましたが、「R34 GT-R」ではまた少しスリムになっています。この中で特徴的なのは、最大トルクが、代を重ねるごとに大きくなっている点です。最大出力は280馬力の行政指導が入っているので、カタログ表記上はキャッピングされていますが、RB26DETTエンジンは、確実に進化を遂げていたことが分かります。

「R32 GT-R」「R33 GT-R」「R34 GT-R」の主要諸元

5.おわりに

 以上が【前編】【後編】の2回に渡る、「R32 GT-R」から続く、「新生GT-R」のご紹介になります。「新生GT-R」の時代は、2002年12月の「R34 GT-R」の販売終了をもって幕を閉じました。

ケンメリの入院(その2)
ケンメリの入院
(その2)

そしていま「新生GT-R」は、中古車市場で我が愛車「ケンメリ」など足元にも及ばないほどの高値で取引されています。ケンメリの入院(その2)でもご紹介しましたが、「新生GT-R」は、アメリカのIVSCA(The Imported Vehicle Safety Compliance Act)という法規の25年縛りから解放され始めているので、アメリカの中古車市場から引く手あまたで、中古車価格の高騰の要因になっています。

 いつの時代も、どこの国でも、開発者が熱い思いを込めて造った車の人気は、決して衰えることはないようです。

6.「R35 GT-R」(おまけ)

 瀕死の状態だった日産は、「R34 GT-R」発売直後の1999年3月にルノーとの提携に合意し、その後V字回復を遂げました。そしてその復活の象徴として、2007年12月に「R35 GT-R」がデビューしました。

 残念ながら「スカイライン」の冠は取れてしまい、グローバルでの販売を前提とした日産の誇るモンスター級のスーパーカーでした。ただデビュー当初は庶民でも、禁欲生活を覚悟して長期ローンを組めば、なんとか手が届く価格でした。

「R35 GT-R」の外観
「R35 GT-R」の外観

 それがどさくさに紛れて年々値上がりし、いつのまにやら実力だけでなく、価格も世界の名だたるスーパーカー並みになり、庶民ににはとても手の届かない高嶺の花になってしまいました。でもどんな形でも「GT-R」の存在が続くのであれば、それも良しとしたいと思います。

 「R35 GT-R」は、発売から16年経った今でも現役バリバリで、年々進化を続けています。デビュー当初と最新の主要諸元を下表に示します。形はほとんど変わりませんが、中身は常に最新型で、特にエンジン出力が、デビュー当初から90馬力ほどあがっており、NISMOチューンになると600馬力に達しています。

「R35 GT-R」主要諸元

 そして、いつになるのか分かりませんが「R35 GT-R」の次期型があるとしたら、SDG’sの流れからしてスーパーEVとしてデビューするのでしょうか? 年金生活の私にはとても手の届く存在ではないと思いますが、どんな姿で登場するのかとても楽しみにしています。

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