我が青春を彩ったクルマたち:その15(2代目マークⅡGSS編【前編】:[GT]ではなく[GSS]でした。)

1.はじめに

 親父の車遍歴シリーズの本編(その6)で、親父が迷い抜いて購入した「2代目マークⅡ」をご紹介させていただきました。グレードは[L]で、静かで滑らかな直列6気筒エンジンと、絢爛豪華なインテリアの、最上級グレードでした。

親父の車遍歴(その6):2代目マークⅡのご紹介ブログ
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 と、思っていましたが、当時親父が入念にカタログをチェックしていたときに、ふと添付されていた価格表を傍らからみてみると、親父の選んだ[L]よりも20万円ほど高い100万円をゆうに超える[GSS]というグレードがのっていました。

 その[GSS]は、カタログ上では[L]よりも下にランクされており、カタログをみる限りインテリアはとても簡素で、シートも一見するとビニールシートのようなニットテープヤーンという素材で、なんでこの安っぽいクルマがそんなに高いのか、当時まだ中学生だった私には理解できませんでした。

 それから運転免許を取得し、いろいろなクルマにふれるようになって、はじめてそれが2.0リッター直列4気筒DOHCエンジンをソレックスツインキャブで武装した、当時のトヨタの最強エンジン(18R-G型)を搭載した、スポーツモデルということが分かりました。

 そしてあるとき、山奥の実家に住んでおり、クルマがないと通学できない友人が、その「2代目マークⅡGSS」を購入しました。

 私の学生時代には「2代目マークⅡGSS」は、すでに販売が終了していたので中古車でしたが、トヨタの最強エンジン(18R-G型)は健在で、厳しい排ガス規制で弱りきっていた我が愛車「ケンメリ:4代目スカイライン(マイナーチェンジ後なのでGC111)」ではまったく歯が立ちませんでした。

 ということで今回から【前編】【後編】の2回に渡り、その「2代目マークⅡGSS」を含めた「2代目マークⅡ」の車両概要と、「2代目マークⅡGSS」にのっていた、クルマにのると突然獰猛になる友人のエピソードなどをご紹介したいと思います。

 今回【前編】では、「2代目マークⅡGSS」を含めた「2代目マークⅡ」の車両概要のご紹介させていただきます。

 なお本ブログは、私の学生時代のつたない記憶と、定期購読誌「国産名車コレクション」、「名車文化研究所」や自動車メーカーなどのサイト、を参考にして書いていることをご承知おきください。

2.「2代目マークⅡ」とは

2‐1)充実の2.0リッターエンジン

 「2代目マークⅡ」は1972年1月にデビューし、デビュー当初から[GSS]グレードはラインアップされていました。「2代目マークⅡ」のボディタイプは、4ドアセダン、2ドアハードトップ、4ドアワゴン/バンで、エンジンは1.7リッターの直列4気筒(以下直4)、2.0リッターには直4と直列6気筒(以下直6)が設定されていました。

 特に2.0リッターの直4エンジンには、DOHCとSOHC、そしてDOHCはツインキャブのみ、SOHCにはツインキャブとシングルキャブの仕様があり、直6を含めると2.0リッターだけで4種類のエンジンが用意されていました。

 トランスミッションは、DOHCは5速フロアマニュアルのみで、それ以外は4速フロアマニュアルか3速フロアオートマ(トヨグライド)、そしてセダンとワゴン/バンの一部グレードでは3速コラムマニュアル、3速コラムオートマ(トヨグライド)で、まだコラムシフトが選べるようになっていました。

 DOHC以外の2.0リッターモデルが、5速フロアマニュアルを選べないのは少し意外ですが、当時の2.0リッターは大排気量エンジンの部類に入っていたので、トルクにものをいわせてあまりシフトチェンジしないのが一般的だったのかもしれません。

 そういえば親父の[L]も4速フロアマニュアルで、特に不満はないようでした。

2‐2)[GT]ではなく[GSS]

 トヨタのDOHCエンジン搭載モデルは、伝統的に[GT]の称号が与えられてきました。

 その伝統に倣い「2代目マークⅡ」と同世代の、「初代セリカ」「初代カリーナ」「5代目コロナ」のDOHCエンジン搭載モデルには、[GT]の称号が与えられていましたが、なぜか「2代目マークⅡ」は[GSS]で、仲間外れにされていました

 その理由は、[GSS]は先代「初代マークⅡ」のライフの途中で追加されたグレードで、"GTに代わる新しい高性能車の誕生" というとても志の高いキャッチコピーで売り出されており、仲間外れというよりは、むしろ自ら啖呵(たんか)を切って離脱したようでした。

「トヨタ2000GT」のご紹介ブログ
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のご紹介ブログ

 「初代マークⅡ」に[GSS]が追加されたのは1969年9月で、当時のトヨタの[GT]は、あの日本の誇る名車「トヨタ2000GT」と、「3代目コロナ」のハードトップのボディに1.6リッター直4DOHCエンジンを搭載した「トヨタ1600GT」しか存在していないので、よほどの決意だったのかと思います。

 ちなみに[GSS]とは、Grand Super Sport の頭文字をとっており、わざわざカタログには “ジー・エス・エスと略称なさってください" とかかれていたようです。相当[GSS]に思い入れがあったようです。

 ただこの[GSS]は3代目で姿を消しました。そもそも3代目にはDOHCエンジン搭載モデルはありませんでした。

 そして4代目となり、ソレックスツインをEFI(電子燃料噴射装置)に置き換えたDOHCエンジン(18R-GEU型)を搭載したスポーツグレードが復活しましたが、そのグレードは[GSS]ではなく[GT]でした。やはり少し無謀なチャレンジだったのかもしれません。

 ただ我々の世代の記憶の中では、「マークⅡ」のスポーツグレードといえば[GSS]となっているので、その役目は十分果たしているような気がします。

2‐3)ハードトップだけで7グレード

 「2代目マークⅡ」のグレード体系は、今では考えられませんがハードトップだけでなんと7グレードもありました。

 [GSS]を除いた[1700DX]から[L]までの価格差は、[GSS]と[L]の価格差と同じの20万円ほどで、だいたい75万円から始まり、その中に6つのグレードが拮抗した価格で設定されていました。

 となると、例えば無難なところで[2000GL]あたりを検討していたお客さまを、敏腕セールスマンは足しげくそのご自宅に通い(当時は訪問販売が主流でした)、うまいこと口説いて[L]までグレードを引き上げたのかもしれません。

「2代目マークⅡ」ハードトップのグレード体系イメージ(GSSは5M/T、それ以外は4M/T)
「2代目マークⅡ」ハードトップのグレード体系イメージ(GSSは5M/T、それ以外は4M/T)

3.「2代目マークⅡ」の主要諸元

 「2代目マークⅡ」の[GSS]を含めた主要グレードの主要諸元を下表に示します。あらためてスペックをみてみると、もちろん[GSS]は飛び抜けていますが、[L]と[GSL]はちょっと微妙です。

「2代目マークⅡ」の主要諸元

 両者の価格差は前述の通り僅差で、直6で110馬力の最高速度は160km/hの、フロントグリルを分割型にしバンパーにオーバーライダーを装着した風格ある[L]にするか、直4で120馬力の最高速度は175km/hの、そこそこスポーティな[GSL]にするかは、ちょっと迷うところだったのかもしれません。

「2代目マークⅡ」のフロントグリルの違いのイメージ:[L(左)][GSL(右)](パワポで作成)
「2代目マークⅡ」のフロントグリルの違いのイメージ:[L(左)][GSL(右)](パワポで作成)

4.おわりに

 以上が、「2代目マークⅡGSS」を含めた「2代目マークⅡ」の車両概要のご紹介となります。

 時代はまさに高度成長期で(終わりに近づいていましたが)、みなが上昇志向に満ち溢れており、親父もこの「2代目マークⅡ」で初めて最上級グレードを購入しました。ひょっとすると、前述の敏腕セールスマンに口説き落とされたのかもしれません。

 次回【後編】では、「2代目マークⅡGSS」にのっていた、クルマにのると獰猛になる、山奥に住んでいた友人のエピソードなどをご紹介したいと思います。

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