創業天保二年の老舗酒蔵が造る全量黒麹仕込みの本格麦焼酎「七代目姫野」はなかなか本格的でした。
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1.はじめに
先日、カミさんの実家で兄弟たちと吞みかわすための焼酎を仕入れにいきました。私は焼酎といえばまずは芋ですが、兄弟たちは麦のほうが好みのようなので、彼らを尊重することにしました。
スーパーによくおいてある麦焼酎ではおもしろくないということで、普段あまり見かけない銘柄がおいてある「横浜そごう」のデパ地下のお酒売り場で探すことにしました。
こちらのお酒売り場は、品数こそ「横浜高島屋」に負けますが、銘柄の珍しさという点ではいい勝負です。以前ご紹介した「出水に黒鶴」もこちらで見つけました。
芋焼酎ならまだしも、麦焼酎となるとどれを選んでいいのかよくわからないので、とりあえず棚に並んでいる麦焼酎を右から順に追っていくことにしました。
すると ”全量黒麹仕込み” というまるで芋焼酎のようなサブタイトルのついた「七代目姫野」という銘柄が目に留まり、価格もとてもリーズナブルだったので、こちらを購入することにしました。
ということで今回は、麦焼酎「七代目姫野」と、その製造元である【姫泉酒造合資会社:以下姫泉酒造】をご紹介したいと思います。
なお本ブログは、私の確かな舌(?)と、【姫泉酒造】のホームページなどを参考にして書いていることを、ご承知おきください。
2.【姫泉酒造】のご紹介
2‐1)天保二年創業
【姫泉酒造】の創業は天保二年(1831年)までさかのぼります。当初は日本酒の製造販売を行っており、その中で培った伝統の技が、現在の焼酎造りに活かされています。造られている焼酎は、今回ご紹介している本格麦焼酎に加え、本格芋焼酎、本格そば焼酎、本格もち米焼酎と、小さい蔵ながら一通りの本格焼酎を造っておられます。
場所は、宮崎県北部の高千穂峡の近くの五瀬ケ川沿いに位置しており、蔵の近くにはお酒造りに適した湧き水があり、それがこの地に蔵を構えることになった理由で、今もなおこの水は同蔵の命といわれているようです。
2‐2)手作業へのごだわり
自動化が進む今の時代でも【姫泉酒造】では、仕込みから瓶詰めラベル張りまで、ほぼ手作業中で行っておられます。これは “新しいものはいくらでも生まれてくるが、古いものは一度やめたらもう造れない" という言葉を体現しているもので、いつまでももの造りの原点を忘れないほしいという、現当主の思いが込められているようです。
3.「七代目姫野」を呑む
3‐1) 七代目当主の代表作
「七代目姫野」は、私の目にとまったように ”全量黒麹仕込み” の本格麦焼酎です。一次、二次仕込みともに芋を使用した “全量芋仕込み" という本格芋焼酎はたまに見かけますが、私のつたない経験の中では ”全量黒麹仕込み” というのは初めてです。
この ”全量黒麹仕込み” とは、七代目となる現当主の姫野建夫さんが自ら研究・開発して生み出された製法です。一次、二次仕込みともに黒麹を使って仕込む製法で、さらに二次仕込みを2回に分けて仕込む二段仕込を行うことで、よりまろやかさのある焼酎に仕上がるのだそうです。
ずいぶんと手間ひまがかかってそうですが、これこそが、前述のもの造りの原点なのかもしれません。そして七代目の姫野さんは、その “全量黒麹仕込み" で造られた焼酎を自分の代表作とし、自らの名を与えています。
3‐2)”全量黒麹仕込み”の味
兄弟たちと「七代目姫野」と吞む前に、念のために少しだけ味見しておくことにしました。
開栓すると、けっこうずっしりとした香りが漂いました。前述の通り【姫泉酒造】は宮崎県北部で、麦焼酎の本場大分県に近いということで、どちらかといえばスッキリ系の麦焼酎かと思っていましたが、いざ呑んでみると、深いコクとなかなかクセのある、麦焼酎発祥の地、壱岐島の伝統的な麦焼酎を思い起こさせる味でした。
そしてその深いコクの中に、 ”全量黒麹仕込み” が造り出す甘味が時折顔を出し、なんともいえない味わい深さを演出していました。これが【姫泉酒造】の七代目当主が手間ひまかけて仕込んだ味かと、あらためて感心しました。そして、この七代目当主の造る本格芋焼酎のほうも呑んでみたくなりました。
ただスッキリ系の麦焼酎を好む兄弟たちには、この本格的な味はちょっと厳しいかもしれないので、保険でもう一本、もう少しやさしい味のポピュラーな麦焼酎を買っていくことにしました。味見しておいてよかったです。
4.おわりに
以上が、本格麦焼酎「七代目姫野」のご紹介になります。どちらかといえばスッキリ系の大分麦焼酎に近い味かと呑んでみましたが、なんと【姫泉酒造】の七代目当主が手間ひまかけて仕込んだ、麦焼酎発祥の地、壱岐島の伝統的な麦焼酎に近い、深いコクとなかなかクセのある本格的な麦焼酎でした。
なにかで割って吞むのではなく、麦焼酎本来の味を楽しみたい方には、おすすめの銘柄です。
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