とりあえず購入した「エンシェント・クラン」はハイランド地方の老舗蒸留所が造る逸品でした。

1.はじめに

 先日、不覚にもぎっくり腰になってしまいました。どうやらキッチン周りの掃除と新しいラックの設置で張り切り過ぎてしまったのが原因のようでした。

「ティーチャーズ」のご紹介ブログ
「ティーチャーズ」のご紹介ブログ

 ぎっくり腰は何度も経験していますが、今回は意外と回復に時間がかかり、なんと我が家のハウスウイスキーの「ティーチャーズ ハイランドクリーム:以下ティーチャーズ」が底をついてしまいました。

 晩飯前のウイスキータイムを日課としている私は、晩飯後にまどろむため(寝落ちするため)のハウス焼酎「黒伊佐錦」で応急的にしのごうとしましたが、晩飯前に一日の最後の気合を入れてくれる「ティーチャーズ」の代替えにはなりませんでした。

 仕方なくコルセットで身を固め、さすがに【ロピア】までたどり着く自信がなかったので、我が家から一番近い某鉄道系のスーパーに行くことにしました。

 こちらのお酒売り場には、そこそこの数の銘柄のウイスキーが並べられていますが、残念ながらどれも【ロピア】より2~3割ほど高いので、せめて【ロピア】にはおいていない銘柄を探すことにしました。

 すると売り場の一等地に、ポピュラーな銘柄たちに囲まれて「エンシェント・クラン」という、ちょっと地味目(すいません)のスコッチウイスキーがおいてありました。価格も同クラスのウイスキーの中では一番安い部類に入っていたので、とりあえずこちらを購入することにしました。

ポピュラーな銘柄たちに囲まれた「エンシェント・クラン」
ポピュラーな銘柄たちに囲まれた「エンシェント・クラン」

 ということで今回は、とりあえず購入したスコッチウイスキー「エンシェント・クラン」をご紹介したいと思います。

 なお本ブログは、私の確かな舌(?)と、「エンシェント・クラン」の輸入元の【国分グループ本社株式会社:以下国分グループ本社】や、「Dear WHISKY」などのウイスキー関連サイトを参考に書いていることを、ご承知おきください。

2.「エンシェント・クラン」とは

2-1)製造元は【トマーティン蒸溜所】

 「エンシェント・クラン」は、イギリスのスコットランドのハイランド地方にある【トマーティン蒸溜所】で造られていました。

 同蒸留所の歴史は古く、創業は1897年となります。同蒸留所があるトマーティンの地はロンドンから約900kmも離れており、創業当時は人口が500人程度の何もないところでしたが、モナリアス山系から流れ出る良質の水、そして良質のピート(泥炭)、気候など、すべてがウイスキー造りにとっては最適な自然環境ということで、ウイスキー造りが始まったようです。

【トマーティン蒸溜所】の場所
【トマーティン蒸溜所】の場所
スコッチウイスキーの6つの産地のモルトウイスキーの特徴(参考)
スコッチウイスキーの6つの産地のモルトウイスキーの特徴(参考)

2‐2)【宝酒造】が事業主

 【トマーティン蒸溜所】は、創業後まもない1906年に一旦閉鎖されました。新たな経営陣により1909年に事業は再開され、順調に規模を拡大し蒸留器の数は最大で23基となり、メジャーブランドと同等規模の年産1000万リットル以上の生産規模となりました。

 ただ1980年代に起こったスコッチウイスキー低迷に伴い、1986年に再び事業を清算することとなりました。その際に日本企業の【寳酒造株式会社(現宝酒造インターナショナル株式会社):以下宝酒造】などが介入して事業の立て直しを図り、現在に至っています。

 現在の事業主は【宝酒造】なのに、輸入元が【国分グループ本社】である理由は、どうやら【国分グループ本社】が【宝酒造】の大株主だからのようです。忖度かもしれません。

2‐3)「トマーティン」がキーモルト

 「エンシェント・クラン」とは「古くからの氏族・家族」という意味なのだそうです。【トマーティン蒸溜所】の代表銘柄であるシングルモルト・ウイスキーの「トマーティン」をキー・モルトとしたブレンデッド・ウイスキーで、力強い口あたりで、複雑で深い味わいに仕上げられているようです。

 キー・モルトとなっている「トマーティン」は、熟成期間の異なるいくつかのグレードがあり、一番安いものでも4500円、高いものでは30万円といった(【国分グループ本社】の参考売価(税抜)2025年12月現在)、私のような庶民には、なかなか手が届かない歴史に裏打ちされた老舗銘柄のようです。

3.「エンシェント・クラン」を呑む

3‐1)やさしい味

 いよいよ「エンシェント・クラン」を開栓しました。香りはそれほど強くはありませんが、ほんのりと甘い香りが漂いました。

 まずはストレートで口に運ぶと、やはりほんのりと甘い味が口の中を潤してくれました。スモーキーさはほとんど感じませんが、ハイランド地方らしくまろやかでとても呑みやすい、やさしい味のスコッチウイスキーでした。

 ただそのやさしさとは裏腹に爽快なアルコール感が、鼻の穴を内側から刺激してくれるので、ウイスキーを味わっている感はしっかりと感じることができました。

 次にロックで呑んでみると、その味わいはほとんど変わることなく、より呑みやすさが増しました。

「エンシェント・クラン」のボトルとグラス
「エンシェント・クラン」のボトルとグラス

3-2)「ティーチャーズ」との吞み比べ

 前述の通りすっかり我が家のハウスウイスキーに定着した「ティーチャーズ」と、「エンシェント・クラン」を呑み比べてみました。

 もちろんスモーキーさでは「ティーチャーズ」の勝ちですが、ほんのりと甘さを感じるまろやかな味の「エンシェント・クラン」は、「ティーチャーズ」とはまた違った、ハイランド地方のスコッチウイスキーの味を楽しませてくれました。

「ティーチャーズ(左)」と「エンシェントクラン(右)」
「ティーチャーズ(左)」と「エンシェントクラン(右)」
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4.おわりに

 以上が、とりあえず購入したスコッチウイスキー「エンシェント・クラン」のご紹介になります。

 その味は、我が家のハウスウイスキーの「ティーチャーズ」とはまったく異なりますが、ほんのりと甘さを感じるまろやかな味は、ハイランド地方の老舗蒸留所が造る逸品でした。とりあえず購入してしまい、大変申し訳ありませんでした。

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