「魔王」に続き、今回はいよいよ3Mの最高峰「森伊蔵」をご紹介します。
Contents
1.はじめに
先日、カミさんにもらったプレミアム芋焼酎の3M(森伊蔵、魔王、村尾)の中のひとつである「魔王」のご紹介をしました。そして「魔王」を呑みながら魔界を漂っているうちに、還暦祝いでもらって後生大事にちびちび呑んだ、3Mの中の最高峰「森伊蔵」の記憶がよみがえってきました。
その「森伊蔵」の澄み切った上品な味は、今でも鮮明に覚えています。ということで今回は「森伊蔵」と、その製造元である「有限会社 森伊蔵酒造:以下森伊蔵酒造」をご紹介したいと思います。
なお本ブログは、私の確かな舌(?)と、【森伊蔵酒造】のホームページなどを参考にして書いていることを、ご承知おきください。
2.【森伊蔵酒造】のご紹介
2-1)老舗の酒蔵
【森伊蔵酒造】の創業は、明治18年(1885年)となります。場所は鹿児島県の垂水市で、「魔王」を製造している【白玉醸造】が、大隅半島(錦江湾の右側の半島です)の先端近くにあるのに対し、同じく大隅半島の付け根付近に位置しています。
酒蔵の広さは約150坪ほどで、けっして大きな規模ではありませんが、「家つき酵母(その酒蔵にだけに棲む酵母)」が棲む木造蔵を使用し、手間のかかる創業以来の「かめ壺仕込み」という製法を守り続けるなど、伝統を大切にした丁寧な焼酎造りを行っておられます。
一時は大手メーカーによる大量生産の焼酎に押され、経営難に陥ったこともあったそうですが、そんな中でも4代目当主森伊蔵氏は、信念を曲げることなく伝統の技と家宝の「家つき酵母」で、高品質な焼酎を造り続けられました。
2-2)「森伊蔵」の誕生
その後、昭和61年(1986年)に、現在の5代当主である森覚志(かくし)氏が酒蔵を受け継ぎ、父である4代目当主森伊蔵氏の意志を継承しながらも、精力的に経営の立て直しや、新たな焼酎造りに取り組みました。
そして昭和63年(1988年)に、厳選したサツマイモを丁寧に処理することで、クセが強くにおいが強烈といったそれまでの芋焼酎の常識を覆す、上品な口当たりの芋焼酎を完成させました。そしてその焼酎に、父への敬意を込めて「森伊蔵」と名づけたのだそうです。

2-3)身の丈に合った焼酎造り
現在【森伊蔵酒造】が手掛けるのは銘柄は、「森伊蔵」のみです。規模拡大のための融資の話が持ち掛けられることはあったようですが、5代当主森覚志氏が、身の丈を超えたらうまい酒は造れない、といった信念を貫き通しました。
そしてこの信念こそが、今もなお3Mの最高峰に「森伊蔵」が君臨している所以なのだと思いました。
ちなみにそんな身の丈の範疇でうまい酒を造りを続ける【森伊蔵酒造】ですが、最近の焼酎の売り上げでは、鹿児島県内で第24位、全国では第47位で、堂々のベスト50に入っておられます(2023年焼酎酒蔵売上ランキング(帝国データバンク))。たいしたものです。
3.「森伊蔵」とは
3-1)伝統の「かめ壺仕込み」
前述の通り【森伊蔵酒造】では、創業以来「かめ壺仕込み」という製法を守り続けています。鹿児島県産米を麹米に使い、鹿児島県の契約農家が低農薬で栽培したサツマイモを丁寧に処理し、かめ壺で仕込み、じっくりと熟成させて造られた焼酎が「森伊蔵」となります。
この「かめ壺仕込み」とは、素焼きのかめ壺を地中に埋めることで、温度を一定に保ち、かめ壺の無数の小さな孔から入り込む微量の空気が、発酵を促進します。さらに、古くから使われているかめ壺には、さまざまな微生物が棲みつき、それもまた発酵を手助けするようです。
これは大量生産に用いられるステンレス製のタンクでは、決してまねることができない「かめ壺仕込み」こそがなせる技となります。
3-2)さらなる熟成
「森伊蔵」は、酒蔵や貯蔵庫で半年ほどじっくりと寝かせて熟成させることで、そのまろやかな口当たりが生み出されています。
そして平成11年(1999年)には、酒蔵近傍の人工洞窟で3年以上寝かせた「極上 森伊蔵」、さらに平成18年(2006年)には、10年以上寝かせた「楽酔喜酒(らくすいきしゅ)森伊蔵」が発売されました。もちろんこれらは「森伊蔵」以上に希少で、なかなかお目にかかることはできません。
そういえば、先日日本航空のファーストクラスのYouTobeを見ていたら、緑色のラベルの「極上 森伊蔵」が映っていました。うらやましい限りです。



4.入手困難ですが
ご存じの通り「森伊蔵」を入手するには、大枚はたいてプレミアム価格で買うか、宝くじの1等並みの当選確率の高島屋の抽選に当たるか、日本航空の国際線の機内販売で買うかファーストクラスに乗るという方法がありますが、どれも少しハードルが高いようです。
そんな中で、まだ現役時代に出張で福岡空港にいったときに、日本航空が空港内で営む「BLUE SKY(現在はJAL PLAZA)」で、確かワンコイン程度の「森伊蔵」のショットをみつけました。すでに搭乗口の列に並び始めたところでしたが、もちろん即離脱し「森伊蔵」を購入しました。
ただ既に飛行機への搭乗は始まっており、かといって一気呑みするにはもったいなさすぎるということで、「森伊蔵」の入ったコップを握りしめて搭乗しました。シートはもちろんエコノミーというのと、不運にも真ん中のシートということで、「森伊蔵」を一滴たりともこぼさないように必死になって着座しました。
その後、離陸前なのでテーブルを出すこともできず、「森伊蔵」の入ったコップを引き続き握りしめたまま離陸し、雲の上で、ようやく「森伊蔵」との至福のひとときを過ごすことができました。

5.3Mの特徴(参考)
「森伊蔵」は、とても澄み切った上品な味、「魔王」は吟醸香が漂う華やかな魔性の味ということは、自分の舌で確かめることができましたが、3Mの最後の一角である「村尾」については、多分何度か飲んではいるとは思うものの、ほとんど記憶に残っていないので、この機会に3Mの特徴をなけなしの情報から下表にまとめてみました。

私が3Mの名を聞くようになったのは、黒麹が火をつけた2000年代初頭の第3次焼酎ブームのころだったと記憶しています。その流れから3Mはすべて黒麹だと思い込んでいましたが、今回調べてみて「村尾」のみが黒麹だったことを、この歳になってようやく知ることができました。勉強になりました。

6.おわりに
以上が、3Mの中の最高峰「森伊蔵」のご紹介となります。「森伊蔵」を最後に呑んでから、すでに数年が経過しています。さすがにプレミアム価格の「森伊蔵」を自腹でというわけにもいかないので、高島屋に足しげく通って、くじ運の悪さにもめげず、抽選を受け続けようかと考えています。
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