我が青春を彩ったクルマたち:その7(5代目ファミリア編:陸サーファーのハートを鷲づかみにしました。)
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1.はじめに
私の学生時代には、陸(おか)サーファーと呼ばれるサーフィンもしないのにクルマのルーフにサーフボードをのせて、サーファーのような恰好をして、女の子たちに声をかけまくるという、なんともさもしい輩たちがはびこっていました。
そんな浮かれた時代の真っただ中に、「5代目ファミリア」が発売され、またたく間にその陸サーファーたちのハートを鷲づかみにしました。
当時「5代目ファミリア」はまだピカピカの新車ということで、私の友人の中では所有しているものはいませんでしたが、瀕死の状態のハコスカ(3代目スカイライン:GC10)のセダンや、一回走るごとにオイルを継ぎ足す必要のある謎の軽自動車を乗り継いでいた友人が、ある日突然その「5代目ファミリア」を新車で購入しました。
ということで今回は、一世を風靡した「5代目ファミリア」と、その「5代目ファミリア」にのっていた友人のエピソードなどをご紹介したいと思います。
なお本ブログは、私の学生時代のつたない記憶と、定期購読誌「国産名車コレクション」、「名車文化研究所」や自動車メーカーなどのサイト、を参考にして書いていることをご承知おきください。
2.「5代目ファミリア」とは
2-1)FF車世界一
「5代目ファミリア」の発売は1980年6月で、若者たちがもうすぐ訪れる熱く燃え上がる夏を待ち遠しく感じ始める絶妙のタイミングでした。先代までFR(Front engine Rear drive)方式でしたが、この「ファミリア」からはFF(Front engine Front drive)方式が採用され、本編(その4)でご紹介した「初代シビック」をお手本にしたようなパッケージングの優れたクルマでした。
エクステリアデザインは、直線基調の2BOXハッチバックで、3ドアと5ドアが設定されていました(4ドアセダンは3ケ後の9月に追加)。この「5代目ファミリア」の登場までは2BOXスタイルは、「シビック」の[RS]などの一部のスポーティグレードを除き、どちらかといえばターゲット層は女性に置かれており、先代の「4代目ファミリア」もミディ・コスモというキャッチコピーで、「コスモ」の妹分のような位置づけでした。
そんな中でこの「5代目ファミリア」は、彼女を助手席に乗せ、カッコつけて、サザンを聞きながら海岸線をドライブるするのがピッタリのクルマで、当時増殖し始めていた陸サーファーのハートを鷲づかみにしました。
そしてまたたく間に「5代目ファミリア」、それもボディカラーは赤、グレードは最上級グレードの[XG]が、街中にあふれかえりました。
その売れ行きは圧倒的で、当時の絶対王者の「カローラ」をもしのぐ販売台数で、わずか27ケ月で累計生産台数100万台(輸出分を含む)を達成し、傾きかけていたマツダの経営の立て直しに貢献したようです。
そしてこの生産台数の達成スピードは、なんとFF車の中で世界一でした。
2‐2)最高のシチュエーション
「5代目ファミリア」のインテリアは、インパネ周りのデザインはオーソドックスでしたが、FF車ならでは広い室内空間に、ラウンジソファシートなるリアシートが採用されていました。
サイドトリムから連続的にラウンドしてリアシートにつながるといったデザインで、フロントシートのヘッドレストを外して倒すとリアシートにかけてフルフラットになり、とても快適な室内空間を創り出していました。
これに加えて電動式のスライドサンルーフも設定されていたので、彼女と一緒にリアシートに足をのばして横たわり、ルーフ越しに満天の星空を眺めるという、最高のシチュエーションを演出することができました。
ちなみに、この最高のシチュエーションを演出してくれるラウンジソファシートと電動式のスライドサンルーフは[XG]のみの設定で、ますます[XG]のミックスを増やす要因になっていったようです。一応他のグレードにもスライドサンルーフの設定がありましたが、残念ながら手動式でした。
3.友人の「ファミリア」は
3‐1)なぜかXL
私の友人の「5代目ファミリア」のグレードは、[XG]ではなくなぜか[XL]でした。その友人はなかなかこだわりがあり、世の中のナンパな若者がのり回している[XG]ではなく、価格と仕様のバランスの取れた[XL]を選ぶことで、自らの聡明さを誇示したかったようでした(多分)。でもボディカラーは赤でした。
[XL]グレードということで、前述のラウンジソファシートと電動式のスライドサンルーフはついていませんでしたが、確か手動式のスライドサンルーフがついていたような気がします。
[XG]と[XL]の違いはそれらの装備だけではなく、[XG]の窓枠には精悍なブラック塗装がされていたのに対して、[XL]のほうはボディと同じ色で、サイドモールも少し細めでした。こちらもおそらく友人のこだわりで、窓枠がブラック塗装されていない[XL]のほうが、欧州車に近い洗練されたセンスということだったのかもしれません。
3‐2)ブロックの上に
そんな友人のこだわりの「5代目ファミリア」でしたが、まだ買ってから間もないときに、大変な目にあってしまいました。友人は、アパートに隣接する青空駐車場に「5代目ファミリア」を止めていたのですが、ある朝クルマのところにいくと、何か違和感を感じたようです。
確かにクルマはあるのですが、何かが違っており、よく見てみるとまだ真新しい4本のタイヤが、4つのブロックに置き換わっていました。当時同様の手口のアルミホイールの盗難はよく耳にしましたが、友人のタイヤはスチールホイールだったので、キーナットなどの防盗対策はしておらず、少し油断してしまったようです。それにしてもひどい話です。
3‐3)ドアミラーに
友人の「5代目ファミリア」は、まだドアミラーの解禁前だったので、フェンダーミラーでした。ただこの「5代目ファミリア」には輸出仕様用のドアミラーのステーが前席ドアサッシの根元についていたので、容易にドアミラーに交換することでき、ドアミラーキットがカーショップで簡単に手に入りました。
日本でもそろそろドアミラーが解禁になるということで、極めて規律正しい友人も、満を持してドアミラーに交換することにしました。友人はその交換を、クルマいじりが好きだった私に託しましたが、マニュアルをみなくても本当に簡単に交換できました。ただフェンダーミラーを外したあとの穴隠しのボルトを、力まかせに締めすぎて破損させてしまったことは、申し訳ありませんでした。
4.「5代目ファミリア」の主要諸元
「5代目ファミリア」の主要諸元を右表に示します。残念ながら[XG]や[XL]のスペックがみつけ出せなかったので[XE]のスペックが記載されていますが、スペックはほぼ同じということでご了承ください。
このころになると大衆車クラスの全幅も広がってきており、「5代目ファミリア」の全幅は、我が愛車「ケンメリ:4代目スカイライン(マイナー後なので型式はGC111)」より10㎜広い数値でした。
そういえば友知人5人で小旅行にでかけるときに、誰のクルマでいくかということになったのですが、車格的には上の我が愛車「ケンメリ」よりも、友人の「5代目ファミリア」のほうが車内が広いということで、落選の屈辱を味わったことがあります。でも快適な小旅行でした。
5.おわりに
以上が、こだわりがあり規律正しく成績優秀な友人の「5代目ファミリア」のご紹介になります。
文中でも述べたように、本当にこの「5代目ファミリア」は売れに売れました。そしてほとんどが赤の[XG]で、かならず助手席には彼女らしき女性がのっていました。でもたまに寂しそうにひとりでのっている方もいました。どうやらこのクルマを買えば、助手席の彼女がオプションでついてくるような勘違いをした方だったのかもしれません。
でも今とは違い、この時代はなにかにつけてクルマへの依存度がとても高かったと思いますし、私もずいぶん我が愛車「ケンメリ」のお世話になりました。懐かしいです。
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