我が青春を彩ったクルマたち:番外7(黎明期のロータリー車編【後編】:庶民でも手が届きました。)
1.はじめに
前回【前編】では、血のにじむような努力の末に実用化されたロータリーエンジンと、日本初のロータリーエンジン搭載車(以下ロータリー車)の「コスモ スポーツ」と、世界初のロータリー車「ヴァンケル スパイダー」をご紹介しました。
今回【後編】では、「コスモ スポーツ」に続いて発売された「ファミリア ロータリー クーペ」、「ルーチェ ロータリー クーペ」をご紹介したいと思います。特に「ファミリア ロータリー クーペ」は、ファミリーセダンの「ファミリア」をベースとした、庶民でも手が届く価格のロータリー車でした。
なお本ブログは、私の少年時代のつたない記憶と、定期購読誌「国産名車コレクション」、「名車文化研究所」や自動車メーカーなどのサイト、を参考にして書いていることをご承知おきください。
2.仲良くお披露目
「ファミリア ロータリー クーペ」と「ルーチェ ロータリー クーペ」は、「RX85」、「RX87」という開発コードのコンセプトカーとして、1967年10月に開催された第14回東京モータショーで仲良く2台そろってお披露目されました。
【前編】でご紹介した「コスモ スポーツ」は同年の5月に発売されており、世の中のロータリー車への関心が高まりつつある中での出展だったので、多くの人々がこの2台のコンセプトカーを取り囲んで、熱い視線を送ったことと思います。

(当時のブースの情報がないので、最近のマツダのブースのイメージとなっていることをご了承ください。)
ちなみに「RX85」、「RX87」の開発コードの頭の ”RX” は、マツダがロータリー車に与えているもので、のちに大ヒット車となる「サバンナRX‐7」は、その開発コードが、そのまま車名として残りました。
その ”RX” の意味するところは、私の勝手な憶測ですが ”R” はロータリー、”X” は未知なる世界への挑戦、を意味しているのではないかと察します。
3.「ファミリア ロータリー クーペ」
「ファミリア ロータリー クーペ」は、前述の第14回東京モーターショーでお披露目されてから10ヶ月後の、1968年7月にほぼコンセプトカーのままの姿(もともとほぼ市販車の姿でした)で発売されました。
ロータリー車生誕の象徴的な存在だった「コスモ スポーツ」とは違い、1967年11月にフルモデルチェンジされたファミリーセダンの「2代目ファミリア」がベースとなっており、そのクーペモデルに「コスモ スポーツ」と同じ10A型のロータリーエンジンを、より扱いやすいように100馬力までデチューンされて搭載していました。
ただデチューンされているとはいえ、ボディは805㎏ほどと軽量だったので、トップスピードは軽々と180km/hに達しました。

ファミリーセダンがベースとはいえ、空力性能の向上につながるファストバックのリアスタイルや、ロータリー車であることを誇示するデザインの専用エンブレム、丸形テールランプなど、随所にこだわりを織り込んだエクステリアデザインでした。


インテリアデザインも、スポーツカーの定番であるT字型インパネに、丸形5連メーター、本木製ステアリング、「コスモ スポーツ」と同じイメージの黒地のチェック柄のシートなど、とてもスポーティな仕上がりとなっていました。
そしてデザインや性能はもちろんのこと、この「ファミリア ロータリー クーペ」の最大の特徴は販売価格が70万円ほどで、同クラスのレシプロエンジン搭載車と大きく変わらないレベルだったので、高嶺の花だったロータリー車を、ぐっと身近な存在にしてくれたことです。
4.「ルーチェ ロータリー クーペ」
「ルーチェ ロータリー クーペ」は、仲良くお披露目した「ファミリア ロータリー クーペ」の発売から1年以上経過した1969年10月に発売されました。ちょうど第16回東京モータショーの開催時期に合わせての発売となり、マツダブースの目玉として華々しく展示されていたことと思います。
ベースモデルといっていいのか微妙ですが、同じ名前の「ルーチェ」は1966年8月に、マツダのフラッグシップモデルとして4ドアセダンで発売されました。搭載されたエンジンは、ロータリーではなく1500㏄のレシプロエンジンでしたが、クラス初となるSOHC(Single Over Head Camshaft) で、なかなか高性能なエンジンでした。
エクステリアデザインも、イタリアのカロッツェリアのベルトーネ(担当は当時ベルトーネに属していたジウジアーロ)が手掛けた、クリーンでとてもセンスがよく、当時の国産車の中でもトップクラスの出来栄えで、とても評判がよかったと記憶しています。私の親父も、当時真剣に購入を検討していました。

「ルーチェ ロータリー クーペ」は、その評判の良かった「ルーチェ」のエクステリアデザインの面影を残しつつ、よりエレガンスに仕上げられており、他の国産車とは一線を画していました。

ボディサイズは「ルーチェ」よりひとまわり大きく、駆動方式も「ルーチェ」のFR(Front engine Rear drive)に対し、なんと当時としては珍しいFF(Front engine Front drive)でした。
もちろんエンジンはロータリー、しかも「コスモ スポーツ」「ファミリア ロータリー クーペ」の10A型の1.3倍ほどの排気量を誇る13A型を搭載しており、中身は「ルーチェ」とはまったくの別物でした。
最高級クーペということで、エアコン、カーステレオ(8トラですが)、パワーウインドウ、などの贅を尽くした装備が満載され、価格も高級車の代表格であるトヨタの「クラウン」のはるか上をいくものでした。
販売台数は累計で1000台弱となっており、「コスモ スポーツ」と同様に希少車の部類に属しますが、私は運よく街中で一度だけみかけたことがあります。ものすごいオーラを放ちながら走り去っていったことを、今でも鮮明に覚えています。
5.各車の主要諸元
「コスモ スポーツ」、「ファミリア ロータリー クーペ」、「ルーチェ ロータリー クーペ」の主要諸元を下表に示します。

エンジン性能は、大排気量の13A型を搭載する「ルーチェ ロータリー クーペ」が圧倒していますが、その重い車重が災いして、最高速度こそやや勝っているものの、0-400m加速では少し水をあけられています(「コスモ スポーツ」は、その後128馬力にパワーアップしているので発売当初の性能での比較になります)。

6.おわりに
以上が【前編】【後編】の2回に渡る黎明期のロータリー車、「コスモ スポーツ」、「ファミリア ロータリー クーペ」、「ルーチェ ロータリー クーペ」、そして世界初のロータリー車「ヴァンケル スパイダー」のご紹介となります。
このあとマツダは、1970年に「初代カペラ」、1971年に「初代サバンナ」、1972年に「2代目ルーチェ」と、ロータリー車を続々と発売しましたが、今回ご紹介した3車に比べると際立った個性はなく(すいません)、ロータリーエンジンを搭載した量販車といった存在でした。
これはすでにロータリーエンジンが特別なものではなく、レシプロエンジンと肩を並べる存在になったということだったのかもしれません。
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