我が青春を彩ったクルマたち:番外5(4代目ファミリア編:幸福をはこぶ赤いクルマでした。)
Contents
1.はじめに
前回、本編(その7)で、陸(おか)サーファーと呼ばれるサーフィンもしないのにクルマのルーフにサーフボードをのせて、サーファーのような恰好をして、女の子たちに声をかけまくるという、なんともさもしい輩たちの心をわしづかみにした「5代目ファミリア」のご紹介をしました。
その中で、ほんの少しだけその先代にあたる「4代目ファミリア」のお話をしましたが、先日たまたまTVを見ていたら歌手の武田鉄矢さんが出演されており、その瞬間にふたつの記憶がみごとに融合し、今は亡き俳優の高倉健さん主演の「幸福の黄色いハンカチ」をみて感動したことを思い出しました。
ということで今回は、「4代目ファミリア」と、少しおまけで高倉健さん主演映画のロケ地巡りの旅をご紹介させていただけたらと思います。
なお本ブログは、私の学生時代のつたない記憶と、定期購読誌「国産名車コレクション」、「名車文化研究所」や自動車メーカーなどのサイト、を参考にして書いていることをご承知おきください。
2.「4代目ファミリア」とは
2‐1)「コスモ」の妹分
「4代目ファミリア」は1977年1月に発売されました。「初代ファミリア」は1963年10月に誕生し、その後3代に渡りセダンとクーペの構成(ライトバン除く)でしたが、この「4代目ファミリア」からはイメージを一新し、2BOXスタイルの3ドアと5ドアのハッチバックの、女性ユーザーをターゲットにしたおしゃれなクルマに生まれ変わりました。
フロントグリルは、マツダの上級クーペ「2代目コスモ」と同じくたて型グリルを採用し、おしゃれでエレガントなクーペとして人気を博していた「2代目コスモ」のイメージにあやかろうとしていました。
イメージキャラクターは当時人気モデルだった秋川リサさんで、確か”ミディ・コスモ” というキャッチコピーでプロモーションが展開されていました。
”ミディ” には ”中間” とか ”中年の女性” とか ”丈がひざ下まである洋服” などという意味があるようですが、さすがに ”中年の女性のコスモ” ということはないので、おそらく ”ちょっと小ぶりなコスモ” とか、"コスモの妹分” 的な意味で使われていたのではないかと、勝手に解釈していました。
2‐2)「4代目ファミリア」の主要諸元
「4代目ファミリア」の主要諸元を右表に示します。
「4代目ファミリア」が発売したころは、大衆車クラスがFR(Front engine Rear drive)方式からFF(Front engine Front drive)方式に切り替わりつつありましたが、「4代目ファミリア」はFF方式っぽいスタイルを持ちながら、従来通りのFR方式を採用していました。
エンジンはマツダお得意のロータリーエンジンではなく(2代目には搭載されており、なかなかクールなクルマでした)、1.3リッターの直列4気筒SOHCエンジンが搭載されていました。
この「4代目ファミリア」の名前のうしろにはAPという2文字がついており、この時代のマツダのクルマにはみなついていました。これはAnti Pollutionの頭文字をとったもので、まさに厳しい排ガス規制の真っただ中で、その対策を施してあるクルマを表していました。
そういえば我が愛車「ケンメリ:4代目スカイライン(マイナーチェンジ後なのでGC111)」のトランクリッドにも、"NAPS(Nissan Anti Pollution System)" というバッジがついています。
2‐3)「幸福の黄色いハンカチ」に登場
最初にお話ししたように「4代目ファミリア」は、高倉健さん主演の「幸福の黄色いハンカチ」という映画に登場しました。武田鉄矢さんが運転し、高倉健さんと女優の桃井かおりさんが同乗して、刑務を終えた高倉健さんが、女優の倍賞千恵子さん演ずる奥さんが住む夕張にい向かうというストーリーで、最初から最後まですっと赤い「4代目ファミリア」が出演(?)しています。
そして奥さんが、高倉健さんを迎え入れる合図となる黄色いハンカチを、鯉のぼりの竿いっぱいにたなびかせて待っているというラストシーンを思い起こすと、今でも目頭が熱くなってきます。歳とともに本当に涙もろくなりました。
そしてちょっとおまけのように感動のラストシーンのあとで、「4代目ファミリア」の中で武田鉄矢さんと桃井かおりさんが、感動のあまりに熱く抱擁しあうシーンで映画は幕を閉じています。
3.今はなき夕張駅と増毛駅(おまけ)
3‐1)高倉健さんを偲ぶ旅
以前もお話ししましたが、新型コロナが蔓延する前は、毎年GWと夏休みはカミさんとふたりで、北海道か沖縄に旅行に行っていました。
たまたまこの年は、高倉健さんが亡くなられた翌年ということで、高倉健さん主演映画がケーブルテレビで特集されていました。
そしてその中で前述の「幸福の黄色いハンカチ」、「駅 STATION」、「鉄道員(ぽっぽや)」などを観て感動したといとうことで、単純な私は、そのロケ地を巡って高倉健さんを偲ぶ旅を計画しました。
旅のルートは、新千歳空港から北海道に入り、レンタカーで夕張に向かい、その後増毛に向かうというコースでした。なぜ夕張と増毛を選んだのかというと、その町につながる鉄道が近く廃線になるという噂がながれていたので、隠れ鉄道マニアの私として少し血が騒いだからでした。
3‐2)幾寅駅はパス
「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地だった幾寅駅は、北海道の主要路線である根室本線の途中駅ということで、しばらく廃線はないだろうと、このときはパスしました(実は検討は進められていたようです)。ちなみに映画の中では幌舞駅という名で終着駅になっています。
その幾寅駅ですが、2016年8月に北海道を襲った台風で幾寅駅がある区間が不通になってしまい、その後バスでの代行運転が行われていましたが、昨年(2024年)の3月末に廃線になってしまいました。駅は高倉健さんにあやかった観光地として残るようですが、幾寅駅を列車とともに見ることはもうできなくなりました。このとき少し大回りして行っておけばよかったです。残念です。
3‐3)まずは夕張駅
「幸福の黄色いハンカチ」のロケ地の夕張は炭鉱の町として栄えましたが(高倉健さんも元炭鉱夫でした)、1977年に夕張炭鉱が閉山になったあとは、リゾート開発などで巻き返しを図ろうとされましたが、うまく軌道には乗りませんでした。
映画の中では夕張駅は出てきませんでしたが、夕張炭鉱の全盛時代は、さぞかしその界隈はにぎわっていたことと思います。グーグルマップのストリートビューで確認したところ、夕張駅は現在も私たちが行ったときと同じ姿で残されているようですが、その外観はリゾート開発が進められていた名残で、どこかペンション風になっています。
3‐4)そして増毛駅
増毛駅は「駅 STATION」の中で登場する駅の中で、私の一番印象的だった駅です。留萌本線の終着駅となりますが、2016年12月5日に増毛駅から留萌駅の区間が廃線になりました。2023年3月末には留萌駅から石狩沼田駅間が廃線、そして2026年3月末には石狩沼田駅から深川駅間が廃線になり100年以上続いた留萌本線の歴史が幕を閉じる予定です。
映画の中では高倉健さんと倍賞千恵子さんが、増毛駅から列車に乗って留萌駅まで行き、そこで映画を観たり食事をしたり、そして愛を確かめ合ったりしています。そのころはまだ留萌駅は栄えていたようです。
4.おわりに
以上が、「4代目ファミリア」と、少しおまけで高倉健さん主演映画のロケ地巡りの旅のご紹介となります。
今では「4代目ファミリア」はほとんど見かけることはなく、我が愛車「ケンメリ」よりも見つけるのが難しいクルマです。もし街中で、赤い「4代目ファミリア」を見かけることがあったら、何かいいことがあるかもしれません。
<我が愛車ケンメリ関連のブログのメニュー入口>
我が愛車ケンメリとの様々なエピソードや、私の記憶の中にしっかりと刻まれている数々の往年の名車たちをご紹介していますので、ぜひご覧になってください。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません