鹿児島県限定販売の芋焼酎「南之方(みなんかた)」を、たまたま九州物産展で買うことが出来ました。
Contents
1.はじめに
先日横浜髙島屋の九州物産展で、鹿児島限定販売のずっしり系芋焼酎「南之方」を、はるばる鹿児島から来ていた店員さんに勧められるがままに購入しました。
今回はその「南之方」と、その「南之方」を製造する【薩摩酒造】をご紹介します。
2.たまたま九州物産展で購入
九州物産展では、カミさんが死に物狂いで本場の「さつま揚げ」を物色していました。さすがにカミさんに付き合い疲れてきたので、九州物産展であればめずらしい焼酎があるのではと、焼酎コーナーを探してみたら、会場の隅っこにひっそりと小ぶりな展示コーナーが構えられていました。
ちょっと拍子抜けしましたが、気を取り直して店員さんに、めずらしい焼酎はないかと聞くと、まってましたとばかりにいろいろと教えてくれました。この店員さんは鹿児島からわざわざお越しになっているようで、にわか仕込みの焼酎の知識で質問すると、さすが専門家だけあって的確に答えてもらえました。
この店員さんとの会話に盛り上がりながら、ふと陳列された焼酎を見るとなんと「さつま白波」のラベルが目に飛び込んできました。「さつま白波」であれば近所のスーパーでも買えるではないかと思いかけると、店員さんが鹿児島県限定発売の「南之方」と「きばいやんせ」という焼酎を勧めてくれました。
せっかく地元でしか買えない焼酎なので、ずっしりくる「THE芋焼酎」がいいというと、「南之方」がいいのではということで、こちらを買いました。今から思えば、どちらもそれほど高くなかったので、両方とも買っておけばよかったと、少し後悔しています。
3.【薩摩酒造】のご紹介
「南之方」を製造する【薩摩酒造】は昭和11年(1936年)に設立され、鹿児島県南部の枕崎市に位置しています。焼酎を飲まれる方であれば一度は耳にしたことのある「さつま白波」を製造しているメーカーで、焼酎の売り上げ高は全国で第7位、以前ご紹介した「だいやめ」を製造する【濱田酒造】の第5位に続き、鹿児島県では2番目に大きな焼酎メーカーです。この売上高の順位は「2021年焼酎メーカー売上高ランキング:帝国データバンク」から引用していることをご承知おきください。
製造している焼酎は芋焼酎が中心になりますが、それ以外に「神の河(かんのこ)」などの麦焼酎や、米焼酎、そば焼酎なども製造している総合焼酎メーカーになります。今回ご紹介している「南之方」のような鹿児島県限定発売品も含めると全部で24種類の芋焼酎、他の焼酎も合わせると33種類にも上る焼酎を製造しています。
「白波」シリーズだけでも、よく見かける「さつま白波」「黒白波」を含めて6種類あるようです。数量限定品も含まれるので難しいとは思いますが、可能であれば6種類の「白波」が注がれたグラス並べて順に味わってみたいものです。
4.直球の芋焼酎
4-1)「南之方」を味わう
いよいよ「南之方」を味わってみました。比較という意味で近くのスーパーで「さつま白波」も買い込んできました。
まずは「南之方」からです。香りはそれほどではないのですが、一口呑むとさすが地元の方がお勧めするだけのことはあり、期待以上のずっしりとした「THE芋焼酎」でした。私の老朽化が進みつつある食道を、激しく刺激しながら一気に胃に攻め込んできました。そしてほぼ同じタイミングで脳天を内側からしびれさせてくれました。
久しぶりに男の中の男に出会った気分で、普段それなりに鍛えている私の胃と肝臓でも、そう簡単には太刀打ちできそうにありませんでした。以前ご紹介した「綾夢」や「一里山」もなかなか本格的でしたが、複数の原酒がブレンドされており、味が幾重にも重なりあった奥深い味でした。それに対し「南之方」の味はとてもシンプルで、常に直球勝負の全盛期の江川卓投手のようでした。
味を正しく知るために、まずは男らしくストレートで臨みましたが、味を確認したあとは氷を入れ、その氷を溶かしながら高齢者らしくおとなしく呑んでみました。すると急に甘みとまろやかさが出てきて、まるで硬派の男が突然やさしい笑顔を浮かべたときのように感じました。
続いて「さつま白波」です。こちらは「白麹」で仕込んでいるので、「南之方」より相当マイルドに感じるであろうと予見しながら呑んでみました。すると意外や意外、もちろん「南之方」ほどではありませんが、芋焼酎らしいキレのある味で、薩摩に伝わる黒瀬杜氏から受け継いだ製法で仕込まれているだけのことはありました。ふだんやさしい顔でニコニコしているくせに、いざというときはキリっと肝が据わる好青年といった感じでした。
4-2)「南之方」の製法と特徴
下表に「南之方」と「さつま白波」の製法と特徴を示します。「南之方」は、「黒麹」「常温蒸留」「初期熟成」「無濾過」というバンカラ芋焼酎のすべての要素を持ち合わせています。それに対し「さつま白波」は「醸造」と「濾過」はあくまで味からの類推ですが、「白麹」×「常温蒸留」で、まろやかながらキリっとした味を生み出しているのかなと思いました。
5.「地理的表示 薩摩」とは
5-1)「地理的表示」とは
「南之方」を味わいながら、裏ラベルをながめていると、「地理的表示 薩摩」と「南薩摩本格いも焼酎」いうロゴが入っていました。
ちょっと気になったので調べてみると、「地理的表示 薩摩」とは、1995年に世界貿易機関(WTO)のトリプス協定において、「壱岐焼酎」「球磨焼酎」「琉球泡盛」「薩摩焼酎」の4つの産地が、地理的表示の産地指定を受け、国際的にブランドが保護されるようになり、その中のひとつなんだそうです。
これにより、その地域で生産され、決められた製法で造られたものでなければ、これら産地を冠したロゴを使うことができなくなっているようです
ちなみに、ウイスキーの「スコッチ」や「バーボン」、ブランデーの「コニャック」、ワインの「ボルドー」、発泡性ワインの「シャンパン」などの世界的に知られた銘酒も、地理的表示が指定されたものだそうです。
5-2)「地理的表示 薩摩」の定義
国税庁のホームページによると、「地理的表示 薩摩」を使用するためには、下記の事項を満たしている必要があるそうです。
(1)原料
イ)いも類に鹿児島県(奄美市及び大島郡を除く。以下同じ)で収穫したさつまいものみを用いたものであること。
ロ)こうじに米又は鹿児島県で収穫したさつまいもから製造されたもののみを用いたものであること。
ハ)水は鹿児島県内で採水した水のみを用いたものであること。
(2)製法
イ)鹿児島県内で原料の発酵及び蒸留が行われていること。
ロ)こうじ、いも類及び水を原料として発酵させたもろみを、単式蒸留機をもって蒸留したものであること。
ハ)製造工程上、貯蔵する場合は鹿児島県内で行うこと。
ニ)消費者に引き渡すことを予定した容器に鹿児島県内で詰めること。
5-3)「南薩摩本格いも焼酎」の定義
もうひとつのロゴである「南薩摩本格いも焼酎」は、「南薩マーク」と呼ばれ、知覧・指宿税務署管轄地域にある【薩摩酒造】を含めた16メーカーのみが表記することができ、定義は下記の通りとなっています。「地理的表示 薩摩」の定義に加え、さらに蒸留場所が南薩摩地方に限定されています。
米こうじ又は芋こうじと鹿児島県産のさつま芋を100%使用し、 鹿児島県内の水を原料として発酵させたもろみを、 南薩摩において単式蒸留機で蒸留し、 かつ容器詰された本格焼酎であり、 水以外の添加物を一切含まないもの。
6.おわりに
以上が、「南之方」のご紹介になります。久しぶりに本物の芋焼酎にぶん殴られたような気がしました。そしてあらためて、胃と肝臓がまだ元気なうちに、薩摩地方への「焼酎梯子旅」を実現させたいと決意しました。
<ケンメリブログのお酒のメニューの入口>
いろいろな 焼酎、日本酒、ワイン、ウイスキー などをご紹介していますので、ぜひご覧になってください。
<お酒を呑みながら、ぜひ読んでみてください。(我が愛車ケンメリ関連のブログのメニュー入口)>
我が愛車ケンメリ(4代目スカイライン)との様々なエピソードや、懐かしい昭和の名車たちをご紹介していますので、お酒を呑みながら、ぜひ読んでみてください。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません